柄澤斎さん
昨日、アフリカ在住の方から電話がありました。
私がブログで言及した柄澤斎さんをネットで調べて、大変な版画家だと知った、と言うのです。ええ、そうなんです、と私。
柄澤さんは、今週から始まった日経新聞の夕刊の連載「無花果の森」で画を担当しています。作家の小池真理子さんが柄澤さんを離さないのです。ほかの新聞でも何度かこのコンビで仕事をされています。
知人:「思想家だね、この人は」
私 :「よく分かりましたね。哲学を版画、もしくはコラージュと言う方法で表しているのですよ。私は絵がきれいと言うより、柄澤さんの考える道筋がはっきりと見えて、それをたどるのが好きなんです」
知人:「そうだなあ、昔の画家や哲学者の頭脳の中をぐうっと潜り抜けて、追体験しているね。それから描いている」
私 :「日本人は体験体験と、現場体験ばかり主張しますが、人がたどった道を追体験できる読みこみ能力をもっと大事にせねばなりません。この能力が哲学者を生むんです」
と、会話が弾みました。
大岩オスカールも、自分を「考える人」と称していました。
私も自分を「考える人」だと思っています。
シロタ画廊でお話した柄澤さんの、静かな声とゆっくりとした視線の動かし方を、時々思い出します。
あれは、柄澤さんの「空気」でした。
以来、何度も何度も反芻する「空気」です。私からもはや不可分の資産です。我が分身、「鮫切丸」(柄澤さんの作品)は、「空気」が生んだ雫です。
それにしても、思想家の柄澤さんを1年間も独り占めする作家は、果たしてそれだけの内容ある小説を書くんでしょうねえ~。少し意地悪な気持ちで夕刊小説を読んでいます。
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