人脈はこう築く
私は今年に入ってすぐソマリア行きを決断した。無政府状態に入ってすでに18年。オバマ政権を脅かすテロリストがすでにアフガニスタンからソマリアに多数入り込み、ソマリアはテロの最前線にある。海賊で世界を驚かせている背景には、そんな無政府状態と人道支援の欠落とがある。と思ったのである。
机上調査で現状を調べると同時に、私は政治、援助、セキュリティ、資源の分野でソマリアに関連するトップとの面談を求めた。この4分野は、私が20年間の経験で得た、途上国を見るときのキーワードだ。すべての権力はこの4分野に通じている。4つのすべてを握る人がいれば、それは非民主主義国。民主主義国では権力は細分化されているが、それでもトップ同士は大いに顔見知りだ。いずれかの分野の権力者と会えれば、すべての道は開けると、確信していた。
4分野には、すでに私は通じていた。自腹で外国のセミナーなど出席をして、各セッションで必ずといってよいほど手を上げて発言してきたからだ。そうすると、セッションあとのコーヒーブレイクで必ず、個人的な意見を話しに近寄ってくれる人たちがいる。こうして、実際にあったことがあるのはわずか1回2回であっても、私の考えや背景を皆、覚えていてくれた。
帰国後開始した連載では、掲載記事を英訳して、順次、取材に協力してくれた人たちに送った。
予想通りというべきか、私の原稿に意見を述べる未知の人が現れた。米国在住の英国人J氏だった。米国で30数年、独自のニュースを大手メディアや企業に配信し続けている。J氏は、私の記事へのコメント共に、「ソマリアの海賊はすでに、こういうルートでアル・カイーダと手を結んでいる。武器は旧ソ連製の何と何をこの値で買った」等の情報を含む自分の記事を送ってくれたのだった。御歳83歳だという。
さて、それが新たな私の人脈になった。毎日朝晩、インターネット電話で話すようになった。ソマリアのみならず、世界各国の防衛、外交、貿易、犯罪、感染症などまさに国境を越えて広がる課題を負っていることでは、私も彼も同じである。1ヶ月もすると、情報源を共有しあうまでになった。まさに「脈」である。J氏の次にA氏と、次々に人は連なっている。
氏の言動には明らかな特長がある。マメに電話をかける。私の意見を認めた後で「こういう意見もあると思うが」と、異論を述べる。「元気?声の調子がよくないよ」と、気遣いを見せる。写真とビデオを交換したがる。そして、仕事と関係なさそうな雑談をよくする。
83歳まで現役でジャーナリズムを実践しているだけに、人脈を世界中に持ち、彼らとのエピソードをよく記憶して、当時と今とを比較しては「ここが変わったのは何が原因だろうか」と、私と議論をするのである。
諺の「犬も歩けば棒に当たる」とは、ネットワーキングを意味しているのでは、と思うに到った。それは,誰かと知り合いになることではない。まず、自分の意見を持つこと、それを相手の言葉に巻きつけたり、相手の言葉を自分のそれに巻きつけたり、影響を与え合うことだ。興味ある人物との付き合いをこまめに維持管理する。その手間隙をどんな時にも惜しまない。目先の忙しさにかまけがちな日本人がネットワーキング下手になるわけである。
※このコラムは、国際フレンドシップ協会発行の「the COMMUNICATOR」11月号に掲載したものです。
| 固定リンク
「 国際支援の世界」カテゴリの記事
- ハイチ派遣国際救援隊(2010.02.07)
- 山内康一さんに期待する声続々と(2010.01.18)
- ハイチの国連ミッショントップ3死亡(2010.01.17)
- どうするウクライナ、ロシア(2009.01.14)
- 陽と共にあらぬ人間の時間(2009.07.18)
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/520148/46671286
この記事へのトラックバック一覧です: 人脈はこう築く:


コメント