韓国のアートがユニバーサルな趣向に
土曜日、銀座のシロタ画廊で、韓国のアーティスト、劉守鐘(Yoo Soo Jong)の展示会を見てきた。
想像に反して、そこには政治的なメッセージや、日本への恨みというような暗さがなく、どこの国でも通じるセンスある作品だった。経済成長とともに、アーティストも「自国の文化」にこだわらず、自分がよいと思う作風を築き上げるようになるようだ。
日本間においてもよさそうな絵だった。草地と空のコントラストをはっきりさせ、月と白鷺草が描かれている。草の合間には天道虫が隠れていて、それが色のアクセントになっている。おとぎ話の、ウサギとお月様を思い出させるモチーフだ。
以前、60、70歳代と思しき日本人女性画家の展覧会を某画廊で見たとき、私は辟易した。反核、反戦争、反公権力とやらの思想をキャンパスいっぱいに塗りたくっていて、眼が痛くなった。高齢化すると眼が悪くなるためにこんな色彩にしたのかと、疑ったくらいだ。思想信条を熱っぽく語るアーティストの説明が私の気持ちに追い討ちをかけた。まるで「力」を感じなかった。あれらは暮らしの中におく美術なんかではない。画廊で展示会をしてもらう意味がない。発信するばかりで内省することがないアーティストには、なんら魅力も可能性も感じないものだ。
暮らすということと、政治思想を持つということの区別がつかない世代がいるのだ。これはその画家だけの特徴ではなく、世代的特徴だ。人種による違いよりも、経済状態、教育、職業による差異のほうが大きく人を形作る。
さて、シロタ画廊では4週連続で毎週一人のアーティストの作品を展示するのだが、出し元であるソウルの最大手画廊、珍画廊の女主人、珍さんは日本語教育を受けているため話もすべらか。
「韓国の女の人は、200万円する絵を、ぱっと一目見て買っていくよ。あなたもね、それくらい決断しないと」
そんな、とんでもない、といって、辞退した。韓国通貨のウォンが日本円の半分以下になったのだから、お買い得ではあるが、月に行くほど遠い話しだった。
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