日本イノベーター大賞の枋迫さん
27日夕方、日経BP社主催の日本イノベーター大賞の授賞式に行ってきた。旧知の枋迫篤昌さんが大賞を受賞されたのでお祝いを言うためだ。
枋迫さんが創業したマイクロファイナンス・インターナショナル・コーポレーション(MFIC)は、移民送金を原資に途上国に滞留資金を作り、それを貧困層に低利で小額貸し出すという、画期的なスキームだ。拝金主義を基盤にした金融工学にあえて乗らず、善良なる心がそのまま結実した透明な決済プログラムが素晴らしい。その枋迫さんが、私も縁がある日経BP社から栄えあるイノベーター大賞を受けたとは、ご縁である。
枋迫さんが起業したばかりの2004年の9月、私はアメリカのワシントンDCとその周辺の送金店舗と、マイクロファイナンス取引先があるエルサルバドルの受益者を訪ねて歩いた。DCの近郊、ホイートンの店舗の開店セレモニーを取材したり、顧客に集まってもらってグループインタビューをしたり、顧客の母国の家族を尋ねて送金に頼る暮らしぶりを伺ったり。最先端の取材だった。
日本ではまだ「移民送金」という言葉自体が知られていないときで、マイクロファイナンスを勉強会で学んでいるレベルだった。彼が考案したスキームを専門的に解説した記事を業界専門誌の「国際開発ジャーナル」で発表したり、送金システムに絞って「フォーブス日本版」で書いたり、ODA機関にペーパーを提出したりした。
その後、2006年、2007年と、DCの会社と店舗を訪ねて最新の状況をフォローアップもした。MFICのスキームを金融と開発の両面から専門的に解析をし、そのフィールドまで尋ねていったのはジャーナリストでもコンサルタントでも今も私一人と自負している。
授賞式で晴れやかにスピーチする枋迫さんを見ながら思った。もう私が枋迫さんを応援してやる必要もなくなった。良かった良かった、枋迫さん。おめでとう!!
帰り道、枋迫さんの取り組みを冷ややかに見ていた国際協力の世界の誰彼の顔が頭に浮かんだ。批評するのは誰でもできるが、厳しい実業の世界で誰も考え付かなかったことを始め、実績を出すことは、月とスッポンほどに違う。なんだかちょっとばかりスッポンたちのハナを明かしたような気がした。徹夜明けの頭が妙に冴えた。
さて今夜は、読みかけの村上龍作『半島より出でよ』の後半を読みきってしまうか。寒さに身をすくめて吐く白い息が、安堵の息と混じってちょっとばかり長くなった。
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