本業で勝負するプロフェッショナル
去る13日、14日の2日間で、小野不由美作「魔性の子」を再読した。数年前に読んで感嘆し、今回は描写に注目しつつである。ファンタジー小説なのだが、ファンタジーというには余りに迫真、近年の舞台なのだがいつの世にもありそうな設定、性別ある登場人物に性が感じられない不思議、状況描写に匂いの記述が混じる異様さ。冒頭に王維の漢詩が掛け軸のように並ぶ威厳にも圧倒されるが、イラストなく、行換えなく、画数の多い漢字が並ぶ書面に、胸が痞える。
小野さんとは面識がない。だが、初作品から注目し、その際立った異能ぶりに感嘆し、敬服し続けている。雑文を週刊誌などで見かけることがないのもすばらしい。どこかのレストランの味を評するとか、交友関係を開陳するとかいうような私的な匂いを封殺して、一切のエネルギーを作品に投じている姿勢に、作家としての矜持を感ずる。恵まれた環境を得ている、とも言える。
作家は作品で勝負するものだ。作者もラーメン屋だって入ることもあるだろうに、70年代の洋楽を聴いて育っただろうに。そんな身辺雑記は切り捨てている。私には後を追いたい先輩はいないが、小野さんの姿勢だけは私の手本にしている。
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