紛争大流行の時代でも、第一の知識は学問の府から
国際協力は現実の課題を解消していく仕事である。その任に当たるものは、まず実践的な知識と持続的な知識欲を持ち合わせていなくてはいけない。それは、国際開発でも紛争予防、平和構築でも同じだ。
仕事上必要な知識と技術は、実学である。学問のいいところは、問題の核心を発見しやすくしてくれることだ。経済(マクロ経済、財政学、金融、統計学、会計など)、行政学、司法、保健、医療、通信工学あたりに、高い需要がある。多くの人はOJTで仕事に必要な知識と技術を修得して、複数の学問的背景を持つ優秀な人材に育っていくものだが、その人の根幹を成す第一の学問に来るべき学問、つまり学術機関でなければどうしても納めきれない学問が、これらなのである。知るべき領域が広く、その分野の歴史が長いため、独学がなりがたく、まとめて学んでおく必要があるからだ。独学とOJTで習得できることは、第二の学問に設定すればよい。
ところが、いまや優秀な人材が、「紛争予防」「平和構築」を大学、大学院で学ぶ。とくに政治的な事象を追う紛争予防を海外の大学・大学院で収める若い人たちに、ずいぶんと会う。
しかし、紛争予防を学んで、果たして、現実にどんな仕事ができるだろうか。紛争予防は、理屈ではなく何かの実践プログラムがあって成り立つ効果だ。
紛争は現象であって、それ自体が問題というわけではない。紛争を起こした直接原因、誘因があって、その場の人間の知恵では収拾できなくなって紛争は起きる。私たち外国人の役目は、問題の核心を見出し、因果関係を解きほぐし、一つ一つ解決策を提示することなのである。それには、どうしても、学問を学問の府で修めておく必要がある。
学術研究者として生きる人も、同様。政治学中心の研究論文が多くなり、経済学の論考があまり見られない。復興の現実的な計画を国レベル、コミュニティレベルで考えられるのが経済学なのだが。国際機関に勤める経済系の某人は言う。「紛争という現象を追いかけて作成した“学術論文”は、流行語を張り合わせた浅薄な内容だ」と。経済学に基づく紛争予防を、世は求めている。
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