世界でもっとも自由な場所とは人間の頭である――は私の持論です。建設的な批判を受けつつ最先端な“自由な遊び”を叶えられるのは、学問です。その面白さに身を投じようと、2010年春から、大学で新しい安全保障を研究する道を歩み始めました。
1989年から開発と紛争の分野で、ジャーナリストとして、また、調査研究のコンサルタントとして活動してきた私がたどり着いた、もっとも楽しくやりがいがある仕事でした。
ところが、人生は何があるか分からないものです。前年に日経ビジネスオンラインでの連載をきっかけに政治に目覚めておりましたが、現政権の幼稚な政治に我慢ができなくなったのです。夏、私は政界を目指しました。全国を歩きました。残念ながら結果は適いませんでしたが、有権者の声を聴く貴重な機会を得ることができました。
9月、大学にもどり、改めて思いました。この10年の安全保障を伝える、しかるべき教科書がない。これではいけない、書かなくては。これは私の仕事だ。と思いました。
東西冷戦末期にジャーナリストとなって以来、私が一貫して求めてきたのは、「世界 に尊敬される日本」でした。不安定な世界情勢の中にも、可能性を秘めた部分と変え 難い社会的な特徴との、両方があることを見てきました。そして、脆弱国といわれる 国・地域に対して私が貢献できることを、常に考えてきました。その成果を形にする ことが、私が世界に貢献できる方途であると思ったのです。
こうして、2010年秋、私は当面、研究に専念することを決意いたしました。これから2、3年をめどに論文執筆に専念いたします。数本の論文を書いて本にまとめ、博士号を取得したいと思っています。テーマは、「Non-State Actorsによる脅威と開発の可能性」です。
あらゆる業種で研究が進んだ現代においては、人は職種ありきではなく、分野で仕事を決めるべし、と思っています。私は「開発」と「紛争」の中で育ってきました。今や「外交と安全保障」が私の主たる分野です。ジャーナリスト、コンサルタント、そして研究者へと、次第に高い専門性を要求する業種へと歩を進めてこられたことに、感慨を覚えます。
これからは、内容ある研究成果を挙げるべく、励んでまいります。そして、「開発と紛争」「外交と安全保障」のいっそうの発展に、寄与したいと思います。

翻訳・書き下ろし
「武装解除・動員解除・社会復帰その理論、実践、論点」
(オンデマンド出版 笹川平和財団発行2008)
近年国際的な認知度が高まっているDDR:武装解除・動員解除・社会復帰について、知識と情報を提供する初の教本
「紛争から平和構築へ」
(共著 2003 論創社)
復興国支援と日本の役割とは? 内戦後の元兵士が二度と銃器を手にしないために、政府、NGOが果たすべき復興支援の今日の課題を提示する
「アマチュアはイラクに入るな」
(2004 亜紀書房)
平和構築活動に携わるNGO(非政府組織)のプロフェッショナルな仕事ぶりを分かりやすく説明する一方で、その援助活動の難しさも紹介した1冊





